10分で1リットル処理 「難治性腹水」世界初の効果的治療法
ろ過膜の方式を変更し、目詰まりを取る洗浄機能を追加。専用のポンプ装置を不要にし、汎用のポンプと吸引器を使用している。装置を単純化したので、誰でも簡単に操作できる。これらの改良で、がん性腹水を大量に早く処理することが可能になったのだ。
「従来法では1リットルの腹水を処理するのに1時間近くかかっていましたが、KM―CARTでは10分です。全量抜いていて、1人平均7~8リットル程度。中には1回に27リットル抜いた患者さんもいます。大量に腹水が抜けると、臓器の働きが回復し、食事も取れるようになるので、患者さんは見違えるほど元気になります」
乳がんで腹水が9リットルたまっていた女性が治療をして4日後にゴルフに出掛けたケースもあったという。
松﨑院長が09年から行ってきた治療数は約6000例(うち3割は肝性腹水)に上る。掲げる目標は「全世界から“腹水難民”をなくすこと」。「CART研究会」を立ち上げ、いまでは全国50施設ほどでKM―CARTによる治療が受けられるという。「腹水を抜くと体が元気になる」が新常識になりつつある。