口コミで1万人超が VRで認知症を疑似体験してわかったこと
認知症の人が感じているかもしれないことを体験できるVR(バーチャルリアリティー)が話題になっている。
発案者は、高齢者住宅・施設を運営する「シルバーウッド」代表の下河原忠道氏。認知症に対する負の認識を取り除きたいという思いがあり、VR元年といわれた2016年、認知症の症状を体験できるVRを作り上げた。
口コミで広がり、17年10月の時点で体験人数は1万人を超えた。
「認知症については、全て理解しているつもりでいたが、上から目線だったのかもしれない」(認知症専門医)、「10年前にこの体験ができていたら自分の母親に対する介護が変わっていたかもしれない」(介護者)などの声が寄せられている。
現在、“VR認知症”を体験できるコンテンツは「①私をどうするのですか?」「②ここはどこですか?」「③レビー小体病幻視編」。
体験してみた。①は、気がつけば高いビルの屋上、足を踏み出せば、はるか下の道路に転げ落ちそうだが、左右の男女は笑顔で「降りますよ」「大丈夫ですよ」と言う。ええっ、落ちて死んじゃうよ! 恐怖がこみ上げてきたところで違う画面になり、そこは高齢者ホームの玄関前。送迎バスで外出先から帰ってきたところだと分かる。