野菜は意識して多めに食べるが酒の席では気にしない
僕のような1型糖尿病患者では、食事療法は治療にほとんど関係がない。重要なのは、食べる量と注射するインスリンの量とのバランスである。
食べる量に対してインスリンが少な過ぎれば血糖値が跳ね上がってしまうが、多過ぎれば低血糖を起こしてしまう。低血糖を起こさないよう、むしろ「しっかり食べる」ことを医師に言い含められているほどだ。
それでも僕は、「2型期」に一度は真剣に食事療法をマスターしている。その時に会得した感覚は、インスリンのみによる治療に切りかえてから14年が経過した今もなお、体に染み付いている。
白飯やパンがこれだけの量で何キロカロリーくらいか。鶏のササミ肉ならどれだけ食べれば1食当たりの適正な量になるか。目分量でおおむねの見当はつく。物を食べる際には、過去に身に付けたその感覚が、ほとんど自動的に頭の中を駆け巡り始めるのだ。
特に野菜については、常に多めに取るように意識しているし、ほとんど取れない時は罪悪感にすら駆られてしまう。野菜をいかに効率的に摂取するかは、食事療法の要のひとつだ。栄養バランスもさることながら、先に食物繊維を多めに取っておけば、それが食べたものを包み込んで緩やかな消化を促し、血糖値の急激な上昇を抑えることができるからだ。