無理な「在宅」で最期まで“自分らしい暮らし”ができるのか
その後、両親を老健施設に入れていただきましたが、3カ月ごとに別の施設に移るのも大変でした。入所後、妻は食事の介助に行って、前よりも優しくしてあげられたといいます。精神的にも楽になったのです。父母も笑顔を見せることが多くなりました。
父は96歳、母は95歳でともに療養型病院で亡くなりましたが、これらの施設がなければ、我が家は崩壊していたと思います。
いま、日本の世帯構成は1世帯2・47人、東京は2・03人と減ってしまっていて大家族の時代ではありません。一番の問題は、要介護者を24時間、誰が面倒みるかということです。24時間ヘルパーさんを雇える経済的に余裕のある方は多くありません。たとえ訪問看護、往診、介護サービスが来ても、みてもらえるのは訪問したその時だけです。
国は、団塊世代が75歳以上になる2025年をめどに「重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現」すると掲げています。