新型人間ドック「ライフデザインドック」従来型との違いは
週に1回通ってもらい、3年が経過していた。Aさんの体重は101キロ。肥満は、生活習慣病の元凶である。当然、体重の減量を指導した。だが、3年間で減らした体重は1キロに過ぎなかった。禁煙指導もしたが、喫煙本数も指導を開始した3年前と大差ない。横山教授は、“私の指導は無駄だったのか”と落胆し、Aさんにこう質問したという。
「医師の指導時間は5分と1分とで、どちらがいいですか?」。Aさんは「1分の方がいい」と即答した。
「それなら、どんな医師なら5分間の指導を聞く価値がありますか?」と聞いたところ、Aさんは、「みのもんたさんのような医師なら」と、笑顔で答えたという。
当時、朝のワイドショーの人気司会者だったみの氏は病気が気になる視聴者を“その気にさせる”ことに熱心だった。
横山教授は、医師は病気のリスクを教えるが、病気克服の「やる気」までは教えていなかったことに初めて気がついたという。
これが学習理論や行動理論に基づき、患者や受診者の行動を変える「行動変容外来」や「ライフデザインドック」立ち上げの発火点になったという。
「患者が健康のために心を変え、行動を起こすキッカケにならない健診は意味がありません」