「改善策を話す」は限界 患者には“実験”に参加してもらう
高血圧や肥満といった「生活習慣病」の根本治療の第一は食生活の改善にある。しかし、いまの食事はなぜいけないのか、どう変えればいいのか。多くの患者は医師がいくら説明しても、長い間かけてつくられた食生活を簡単には変えようとしない。
2月からSOMPOホールディングスの社員(写真)を対象に生活改善のやる気を起こさせるライフデザインドックをスタート。4月から一般への対応を始めた「東京慈恵会医大晴海トリトンクリニック」(東京・中央区)の横山啓太郎所長は「食生活を変えるには、患者さん自身が治療体験することが効果的」と言う。どういうことか。
「患者さんに医師になってもらい、アドバイスを考えてもらうのです。例えば、『もしあなたが医師の立場なら患者さんの病気を治すために、どのような食生活の改善を要求しますか』と質問すると、にわかに襟を正し、とうとうと改善策を話す患者さんがおられます。『では、おっしゃられたようにやってみましょうよ』と言うと、『そうだな』とやる気を見せる患者さんもいるのです」
自分で考えたことだからこそ、やる気になるのだ。