保険でカバーできる「傷が残らない」甲状腺の内視鏡手術
内視鏡手術は多種多様の器具を用いるので手術時間は外切開手術に比べて30分程度長くなるが、片側摘出の場合で1~2時間程度だという。合併症の発症頻度は術者の経験と技量に依存するが、安全性は外切開手術と変わらない。片山センター長の約560例のうち、永続的な反回神経麻痺(声がれ)は2例、術後出血は8例で、従来の方法に対してまったく遜色はない。
また、片山センター長はVANS法を円滑に行うための器具も考案し、医療機器メーカーから販売されている。内視鏡手術用の切開凝固装置(切って止血する機器)も、より安全性と処理能力の高い高周波凝固装置をメーカーと共同開発。これらの術式の改良によって、少人数・低コストの手術が可能になっている。
「内視鏡手術は施設によって適応基準が若干異なりますが、首を切らなくてもいい手術の選択肢があることをひとりでも多くの患者さんに知ってもらいたいと思います」