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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

炭水化物の摂取割合と寿命の関係 25年間の追跡調査結果は

公開日: 更新日:

 前回触れた耳の大きさと寿命の関係についての検討はなされていませんが、炭水化物摂取割合と寿命については多くの研究があります。いくつかの研究をまとめた結果が2018年に報告されています。

 この研究はアメリカで行われた複数の研究を統合していますが、45~64歳の成人を25年間追跡し、炭水化物摂取割合と死亡との関連を報告しています。その結果を見ると、炭水化物摂取割合が50~55%のグループが最も長生きで、40%未満のグループで死亡率が1.2倍、70%を超えるグループで1.23倍と炭水化物摂取割合が低いグループでも高いグループでも死亡率が高いというものでした。日本人の平均的な炭水化物摂取割合は、男性で56.5~62%、女性で54.7~59.9%の間に収まり、やや多めですが、各年代ともかなりいい線いっているということがわかります。この結果からすると、高齢者でももう少しタンパク質を取って、炭水化物を減らしたほうがいいということかもしれません。

 炭水化物摂取割合を減らす糖質制限ダイエットでこんなに痩せました、みたいな状況が健康につながることとして広まっている面がありますが、長い目で見ると、糖質制限は痩せる効果があるだけで、健康からはむしろ遠ざかっている可能性が高いと思われます。痩せるにあたっても糖質の摂取はどうも重要らしい、糖質をある程度取りながら痩せる方が安全、今のところはそう考えたほうがよさそうです。極端な方法は大体危ない、平均的なやり方は案外悪くないというのは、多くの場合に当てはまるのではないでしょうか。

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