認知症の母親に胃がんが発覚…それでも母は私の生きる希望
■認知症の患者はがん治療しても意味がないのか
65歳以上の方の7人に1人が認知症で、2025年には5人に1人になると推計されていると聞いています。オーストリアの精神科医、V・E・フランクルは「社会に役立つことが人間の存在を測ることのできる唯一の物差しではない」「人間の生命を生きる価値のない生命とみなして、その生きる権利を剥奪する権利はだれにもない」と言っています。
そして、こう書いています。
「医者が任命されたのは、できる限り命を救い、できる限り助け、そしてもう治せないときには看護するためではなかったでしょうか。医者である限り、彼は不治といわれている、あるいは実際、不治である患者に生きる価値があるとかないとかについて、判断を下す権利はないのです。また、その権利があると思い上がっては決してならないのです」
私から見て、母は心も体も苦痛があるようには見えません。きっと自分では何も分かっていないのです。それでも、母は私の生きる「希望」なのです。母には、このままでもいいから、認知症でいいから、ずっと生きていて欲しいのです。たとえ、母が私を誰だか分からなくなったとしても、ずっとずっと生きていて欲しいのです。