80歳の男性患者は孫からの“宿題”で生きる元気を取り戻した
Pさん(80歳・男性)は悪性リンパ腫がなくなって5年が経過しました。「治癒した」と考えていますが、高血圧と脳梗塞の後遺症があり、2カ月に1回のペースで定期的に通院されています。
2カ月前の受診では、元気がなさそうな様子で診察室に入ってきました。そして、こんなお話をされました。
「5日前に37度5分くらいの熱が出て3日ほど続きました。食欲がなくなって、このまま死んでもいいと思ったんです。娘に電話したら、『解熱剤を1錠飲め』と言われて、飲んだら熱が下がって食べられるようになりました。またリンパ腫が出てきたのではないかと思ったり、せっかく治してもらったのにあの時死んだほうが良かったのではないかとか、この年になって生きている意味をいろいろ考えます。生きていても仕方がない気もするのです」
Pさんは、体の調子が悪くなると「どうして生きているのか」を考えるといいます。
「この年じゃ先がないし、希望なんてなんにもないんですよ。いつ死んでもいいけど、生きる意味ってなんですかね?」