医師が命を助ける努力を怠れば命が軽くなり過ぎてしまう
意識なく救急車で病院に運ばれたら、医療者は救命のために努力するのは当然です。がんの末期で誰が見てももう助からないようなみとりの状況とは違います。
たった一つの命です。生きたくなくなったから断食して死ぬ……もし、それをまわりが見過ごすとしたら、それは間違っていると思うのです。
どのような理由があろうとも、自殺しようとする人を見つけたら、医師であってもなくても人は本能的に助けます。遺書があっても助けます。
命を助けるのが医師の仕事です。もちろん、つらい状態を取り除いてあげるのも医師の仕事です。もし、命を助ける努力を怠るようであれば、命が軽くなり過ぎてしまうと思うのです。
70年前の戦争の時に「おまえたちの命は羽毛よりも軽い」と言われ、神風特攻隊の若い命が失われました。それから約30年たって日航機ハイジャック事件が起こり、当時の福田赳夫首相が「人ひとりの命は地球よりも重い」と述べ、超法規的措置として犯人グループに身代金を支払い、収監されているメンバーなどの引き渡しを決めました。