「貧血」の裏に深刻な心臓疾患が隠れているケースがある
貧血気味だなという人で、息切れ、胸苦しい、立ちくらみといった症状がある場合は、心臓疾患が隠れている可能性があります。家族歴や既往歴を確認して、心臓疾患の疑いが晴れないようなら専門医を受診したほうがいいでしょう。
■貧血だけを改善すればいいわけではない
逆に、心臓疾患があることで貧血が起こるケースもあります。比較的見られるのが「溶血性貧血」です。心臓弁膜症の手術を受けて人工弁が入っていたり、小児期の心臓奇形などの手術で心内パッチを当てているといった「心臓の中に人工物がある人」は、経年劣化や縫合した部分が外れてしまう場合があります。そうしたトラブルが起こった箇所は血液が通過する部分が狭くなり、血液はフラグメンテーションと呼ばれる機械的な摩擦を受けてしまいます。すると、赤血球が壊れて溶血という状態が起こるのです。
健康な人の赤血球の寿命はだいたい120日程度です。しかし、機械的な摩擦を受けていると寿命が2週間~1カ月くらいに短くなってしまいます。ヒトは120日の寿命に合わせて新しい血液をつくっているため、血液の供給が間に合わなくなってしまうのです。