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尾上泰彦「プライベートケアクリニック東京」院長

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

現在も世界で2億人以上が“被害者”に…「女性器切除」の恐怖

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 FGMの内容は、クリトリスを切除したり、同時に大陰唇と小陰唇を切除したり、さらに腟口を縫合して狭めたり、性器を突き刺す、切り込む、焼く、削るなど。考えただけでもゾッとします。

 対象になるのは、主に乳児から初潮前の少女ですが、結婚直前や出産直後の女性に行われる場合もあります。

 FGMは伝統的に助産師や「割礼師」と呼ばれる人たちによって、カミソリや鋭利な石、ガラスの破片などを使って、麻酔も薬もなしで行われます。そのため激しい痛みや出血によるショック、感染症などで死亡するリスクがあります。

 尿道損傷、失禁、激しい性交時痛、うつ症状などの後遺症も深刻で、心身に多大な影響を与えます。

 国連機関の発表では、このような悲惨な目に遭った女子が19年時点で全世界に2億人以上いるとしています。主な国は、アフリカは少なくても29カ国、中東、アジア、南米の数カ国、欧州のアフリカ系移民社会の一部などです。

 イスラム圏が多いですが、決して宗教的な儀式ではありません。それは民族の伝統的な女子の通過儀礼として、宗教が生まれる前から2000年以上も続いている風習とされているからです。いくら伝統や文化でも、古き悪習は早く廃絶してもらいたいものです。

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