10万人に1人の精巣腫瘍 痛みなしで硬く肥大化すれば要注意
■転移がなければ95%以上が完治
いずれにしても普段からタマを触ったり、タマ袋の大きさを観察していないと、気づきにくいものです。また、精巣腫瘍は若い世代に発症するので、進行が速いという特徴があります。そのため転移した症状で発見されることも少なくありません。たとえば、腹部リンパ節に転移すれば、腹部のしこり、腹痛、腰痛など。肺に転移すれば、息切れ、せき、血タンなどの症状が表れます。
治療は、まず手術で腫瘍のある片側の精巣を摘出します。転移がなく、がんが精巣だけにとどまっていれば95%以上は完治が可能です。片側の精巣を取っても、もう片側の精巣が残るので精子を作る能力は変わりません。
転移している場合でも、抗がん剤治療や放射線治療を行うことで、かなり治癒が可能です。IJCC分類で「予後良好」の人は95%が、「予後中程度」の人は80%が、「予後不良」の人でも50%が治癒することが分かっています。
ただし、妊娠を望む人に抗がん剤治療や放射線治療を行う場合には、精子を作る能力が低下する可能性があるので、事前に精子の「凍結保存」が勧められています。