睡眠は年齢によって変化 若い頃のように長時間は必要ない
「若い頃のように長時間ぐっすり眠れなくなった……」
加齢とともに睡眠の悩みを抱えている中高年の方はたくさんいます。それが原因で不眠症になってしまうケースもあるので軽視はできませんが、見当違いの解消法に振り回されて悪循環に陥ってしまう人も少なくありません。中高年には年齢に応じた睡眠対策が必要なのです。
まず、理解しておくべきなのは「年を取ると長時間の睡眠は必要なくなる」ということです。われわれは加齢とともに基礎代謝量が低下し、日中のエネルギー消費量も低下します。使われるエネルギーが少ない分、体が必要とする睡眠量は少なくなるのです。
また、脳が必要とする睡眠時間も減っていきます。脳は、昼間に見聞きしてため込んだ情報を睡眠中に整理して記憶を定着させています。それが、年齢を重ねると「過去の経験」をもとに新たな情報をつなぎ合わせて短時間で処理できるようになるため、睡眠時間も少なくて済むのです。
こうした睡眠の変化は、男性なら55歳、女性は40代を境に表れます。つまり、男性の場合は55歳を越えたら睡眠時間が短くても問題はなく、若い頃のように長時間眠れなくても当たり前なのです。しかし、それを知らない人が多いため、「昔みたいに熟睡できなくなった」と動揺し、寝具や快眠グッズを探し回ったり、無理に長時間眠ろうとして焦りを募らせ、むしろ睡眠の質を低下させてしまいます。あれこれ対策を講じる前に、「年を取ったら若い頃のような睡眠は必要ない」という認識を持っておくことが大切です。