加齢黄斑変性症と新型コロナの関係 重症化しやすく死亡率増
これに関連して昨年8月の「ネイチャー・メディシン」という権威ある欧米の医学雑誌に注目すべき論文が掲載されている。
コロンビア大学アービング医療センターが米国のニューヨーク州内の病院に入院した6398人を対象に新型コロナ感染症患者の調査を行ったところ、加齢黄斑変性症の患者は88人いて、うち19人が気管挿管が必要となったことなどを報告。血小板減少症や血栓症などの血液凝固に関わる疾患と同様に新型コロナ感染症の重症化リスクが高いことを示唆している。それも、他の患者よりも早く重症化しやすく、死亡する割合が3倍高かった。
「米国眼科学会のホームページの記事は、この論文の反響が大きく、眼科専門医の団体として無視できなくなったのではないでしょうか」
もちろん、米国眼科学会のホームページでも触れているように、加齢黄斑変性症の患者は高齢で、同時に糖尿病や高血圧など新型コロナの感染・重症化リスクを抱えていることが多い。しかも、88人のデータだけでは加齢黄斑変性症だけが新型コロナ重症化の直接のリスクとは言い切れない。ホームページの記事が「加齢黄斑変性症の患者の新型コロナ感染症合併リスクを明らかにするには、より大規模で詳細な研究が必要です」と控えめな表現となっているのはそのためだ。