無精子症のAI病理診断 男性不妊症治療の普及につながるか
この時点での正診率は82・6%だったが、スコアを判断する部位を切り抜いた加工画像9822枚を用いたところ、正診率は99・5%に跳ね上がったという。
「最初の正診率が80%台に留まったのは、ラベル2と3の判断が難しかったからです。精母細胞が多数いる場合に精子細胞が紛れ込んでいる例が複数あり、スコアの5点と6点の判断が正しく行えなかったからです」
この研究は男性不妊症治療にどう役立つのか。
「これまで熟練した病理専門医が行っていたJohnsen scoreを自動化できたことで、病理医不足からTESEに尻込みしていた施設でも、積極的に手掛けるキッカケになるでしょう。それが男性不妊症治療の普及につながることを期待しています。すぐに病理医に取って代わることはできませんが、病理医の診断の手助けになるはずです。また、このシステムが完成すれば、患者さんは1カ月以上、検査結果を待つことの精神的苦痛から解放されます」
日本の出生率低下に歯止めをかける武器になるかもしれない。