著者のコラム一覧
古谷彰子愛国学園短期大学准教授

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

おもちの窒息事故は高齢者だけが注意すればいいのか?

公開日: 更新日:

 お正月が始まるとニュースで目にすることが多いおもちの窒息事故。東京消防庁のデータによると、令和元年中、食物などをのどに詰まらせたり、薬の包み紙などを誤って飲み込んでしまう誤飲などで1672人の高齢者が救急搬送されています。

 その中でも、平成27年から令和元年の間に団子などを含む「餅」による窒息事故で救急搬送されたのは463人。そのうち12月が63人、1月が177人と、なんと約半数がこの時期に集中しているのです。

 48%が軽症、22.9%が中症状であるものの、残り約3割が命に関わる重症以上なので侮ってはいけません。もちろん、高齢者で窒息事故が多いのはたしかです。おもちは柔らかそうに見えますが、しっかりと噛み切る力は生のニンジンを噛み切るのと同様の力が必要だという専門家もいます。高齢者は加齢とともに噛む力が低下しますので納得の理由です。

■食べる前に口腔内を湿らせておく

 では、高齢者だけが気をつけていればよいのでしょうか。噛む力で考えていくと、まだ噛む筋力が発達していない幼児や、歯周病や歯槽膿漏などの歯茎が弱い人も注意しなくてはなりません。また、高齢者にも言えることですが、唾液の分泌量が少ない人も、口腔内が潤わずおもちが口や喉にくっ付きやすくなってしまうので窒息事故に注意する必要があります。

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