空気感染が注目されるが…「飛沫」を浴びた料理への警戒心が薄れていないか?
しかしいまは、この2つは口腔内の舌、味蕾、歯肉溝にも存在することが明らかになっている。
「飛沫を浴びた料理を介して口腔内から感染することを科学的に証明した論文は知りません。しかし、向かい合って食事をしただけで感染、感染者が配った料理を食べた人の感染が明らかになるなどが報告されています。口の中にたくさんの侵入口がある以上、口腔内感染は理論上あってもおかしくないと考えます」
岩室医師の懸念は飲食中の感染リスクの高さが広く認識されたのに、今回エアロゾル感染が強調されたことで、飛沫を浴びた料理への警戒感が薄れつつあることだ。
「よくある誤解は食品と料理を混同して安心することです。流行当初の世界保健機関の暫定ガイドラインや厚労省見解でも、野菜や魚を含む食品を介しての感染の可能性は非常に低いとしています。食品上でウイルスは増殖しないからです。しかし、それと飛沫を浴びた料理やウイルスが付着した手で触った料理をすぐに口にするのとは別です」
オミクロン株以降、味覚障害の報告数が減っている。これは料理を介した感染が低下したからではないか。岩室医師はそう推察している。