諦めないがん治療には「ハイパーサーミア療法」 負担が軽く高い効果
実際、余命3カ月と宣告された肺がん患者は、藤木病院での治療により半年以上経過した現在も健在。肺の腫瘍は縮小し、腸閉塞が改善して食事が取れるようになり、快方に向かっている。
50代半ばの女性は他の病院で「余命半年ない」と言われたが1年半生き永らえ、その間、家族で海外旅行を楽しんだという。
そもそもなぜ地方の在宅支援病院ががん治療に取り組んでいるのか?
「胃がんの年間死亡者数は私が消化器外科医になった40年前と大きく変わりません。しかも腹膜播種や肝転移の治療の困難さも同じ。これを改善したい。その思いからがんの低侵襲治療を始めたのです」
最初に手をつけたのが脳梗塞治療用の高気圧酸素療法を腹膜播種に使うことだった。
「がん腹膜播種の患者さんは腸閉塞になりやすく、体からガスが抜けずに苦しみます。高気圧酸素療法は腸閉塞の適用があり、体内のガスを減らす効果がある。その併用は大きなメリットです。しかも、高圧酸素を使うと血液に投与した抗がん剤が腹膜の外に出てくるため、その効果がより高くなります。それは抗がん剤の量を減らすことにつながり、その副作用の苦しみから患者さんを解き放つことができるのです」