「不妊治療」いま押さえておくべきこと 保険適用になって8カ月…何が変わった?
「医学的な正解と保険の正解が異なり、判断が難しい面があります」
たとえば「一般不妊治療が無効」。冒頭で触れた人工授精は、精子を子宮内に注入するところは“人工”だが、その後は、“自然の妊娠”と同様だ。
「どこかひとつでもうまくいかなければ妊娠しません。しかし、妊娠までの過程のうちどこに原因があったのかは検査で明確に調べられません。また、加齢で卵子の質が落ちるため一般不妊治療を長々とするのは医学的にお勧めできませんが、『一般不妊治療を何回すれば無効』という回数は決められていません」
年齢が高い妊婦では早めの段階で高度不妊治療に切り替えた方がいいものの、その判断は主治医に委ねられており、「『そのタイミングでは早すぎる。保険適用にならない』と後々指摘される可能性がゼロではないのです」。
「卵巣機能低下による機能性不妊が疑われる」についても、判断が難しい。
「例えば、40歳以上で卵巣の機能がいい人はほぼいません。医学的には機能性不妊となるのですが、保険適用の条件としての機能性不妊は疾患概念があやふやなため、医学的には機能性不妊であっても、保険ではどうなのか迷うところがあります」