「4」が気になる…末期がんで緩和病棟に入った男性の心境
■生きたがっている私がいる
時計を見ると、夜9時44分! え! これは?? 気分も、行動も変わることはないが、4は死、9は苦に繋がる? よく分からないが、緩和病棟に入ってから特に4、死が気になる。
自分が死ぬ時は4時なのか、そんなことどうでもよいことなのだが、数字の時計が良くない。ふと見ると、いつも4時だったり、44分だったり、そんなに私に4が纏わりつかないで欲しい。枕元の時計は、数字ではなく長針短針にすればよかったか。暇だから、こんなことばかり考えている。なにか、もっと良いことを思いつけばいいのに……。
私のような末期がん患者が、いつ死んだって、この世の中、なにひとつ変わらないのだ。たとえ、悲しんでくれる人がいても、すぐに忘れられる。
コロナウイルスが収まり、地球温暖化防止にめどが立って……せめて、ウクライナの戦争が終わってから死にたかった。でも、私はまだ死んでいない。また、今日のネット記事に「がん治療・新薬」とある。私には間に合わないけど、そこに眼が行く。生きたがっている私がいる。
明日は明日の風が吹く、今晩は嫌いなナースではない。眠剤をもらって、このまま眠れそうだ。
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患者の心は複雑なのです。