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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【はやり目】効果的な薬がないため自然回復を待つしかない

公開日: 更新日:

「流行性角結膜炎」は主にアデノウイルス(8、19、37型)による眼感染症です。このウイルスはとても感染力が強く、昔から俗に「はやり目」と呼ばれています。発症はどの季節でも起こりますが、夏に多い傾向があります。年齢による発症の差はあまりなく、どの年齢でも起こります。

 とても症状が強く、目が充血し、まぶたが腫れ、目やにや涙が止まらないといった症状が現れます。2週間程度で自然に治りますが、視力が一時的に低下するケースもあります。

 アデノウイルスは風邪の原因にもなるウイルスで、著効する抗ウイルス薬はありません。体の中にウイルスに対する抗体ができてこないと治らないのです。抗体ができるには発症後1週間くらいかかるため、その間は抗炎症剤を用いた対症療法が主になってきます。

 また、細菌の混合感染に対する予防と治療のために抗生剤の点眼を行う場合もあります。これらの点眼を続けていても約2週間は症状が持続しますが、その後は自然に改善していきます。ですから、はやり目になってしまうと、十分な栄養摂取と休養によりガマンして根気よく治すしかないのです。

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