いないはずの人が見える…「幻視」の背後に潜む「目の病気」
「最近目立つのは、単純幻視です。『ビジュアル・スノー・シンドローム』(Visual snow syndrome)はその代表です。これは矯正視力や眼底、視野検査などの眼科検査に異常がないのに、昔のテレビのホワイトノイズや砂嵐状のものが視野全体に出現する『降雪視』に加えて、残像や両目の飛蚊症、光過敏や夜間の視力障害などが現れるものです」
特徴は両目に現れて眼球を動かしても点の位置が変わらない、目を閉じても症状がすぐには消失しない、など。発症年齢もさまざまで子供の時から発症する。
「当初は片頭痛患者に時々認められる視覚症状として報告されていましたが、いまは別の症状とされています」
■偏見が治療の遅れを招く
モノや自分の大きさが通常と異なって自覚される疾患「不思議の国のアリス症候群」(Alice in wonderland syndrome)も幻視のひとつ。1955年に英国の精神科医によって命名された。
「この疾患は小児期に発熱などに伴い一過性で起きることの多い幻視です。周りが実際より極めて小さく感じられる小視症、逆に大きく感じられる大視症、周りが歪んで見える変視症などがあります。中には実際の距離よりもずっと遠くに感じたり、近く感じたり、体の一部のサイズが変わったように自覚するケースもあります」