【フィラリア症】日本では根絶したが全世界では1億人が感染
「フィラリア症」といえば犬の感染症で有名です。糸状虫(フィラリア)によって引き起こされる寄生虫の病気で、犬糸状虫は犬と蚊の体を行ったり来たりしながら増殖します。
感染した犬を蚊が吸血することで、蚊の体内にフィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)が入ります。この蚊が別の犬を吸血するときに、刺された犬の体内にフィラリアの幼虫が入り込み、感染が成立するのです。
0.3ミリほどの小さなミクロフィラリアは、半年後には18~30センチの成虫に成長し、心臓や血管などに寄生しながら、たくさんの幼虫を産みます。時には致死的な転帰をたどることもあるため、注意が必要な疾患です。現在は、定期的な予防薬の服用により予防することも可能ですから、とくに蚊の発生する季節には、愛犬には予防薬を服用させるとよいでしょう。
あまり知られていませんが、人のフィラリア症も存在します。人に感染する糸状虫もやはり蚊によって媒介され、蚊に刺されることで人への感染が成立します。
フィラリア症を発症すると、急性期には発熱や悪寒、筋肉痛を生じることが多く、慢性期にはリンパ管の流れが障害されて陰嚢が巨大に腫れるケース(陰嚢水腫)もあります。また、皮下組織が肥大して、外観が象の足のようになること(象皮症)も知られています。