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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

繰り返される学級閉鎖 …いまこそマスク着用の有用性についての科学的検証を行うべき

公開日: 更新日:

 学校は長時間にわたり、密閉、密接、密集の3蜜が起こりやすい状況にあり、最もマスクの効果が発揮できる環境かもしれない。これまで紹介してきたマスクのランダム化比較試験では、マスクを勧められても実際に着用するのは半分以下に過ぎず、十分な効果が得られなかった面があるが、学校でマスク着用となれば100%近くが着用する状況が達成される可能性が高い。事実、5類変更以前ではマスク着用を勧めていた学校が大部分であった。

 ただエビデンスという面で言うと、これまで紹介してきたランダム化比較試験やメタ分析で学校でのマスク着用の効果を取り出して解析した結果の報告はない。学校でのマスク着用の効果を検討した、それ以外のランダム化比較試験やメタ分析の論文も見つけられなかった。

 しかし、非ランダム化の介入研究や観察研究での報告は多数ある。そのうちのいくつかの研究を見てみよう。

■歴史的に否定されることの多い非ランダム化前後比較試験

 まず非ランダム化前後比較試験である。米国・ボストンで段階的に学校におけるユニバーサルマスキング(人と接する状況では常にマスクをすることを原則にする)を中止していく際の、生徒と教師のコロナ感染をマスク中止前後で比較した研究である。

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