著者のコラム一覧
近藤一博東京慈恵会医科大教授

大阪大医学部卒。近著「疲労とはなにか」(講談社)

疲労の謎がここまで分かった(2)休んでも回復しない「病的疲労」は脳内で炎症が起きている

公開日: 更新日:

 どうして病的疲労の場合、HHV-6が再活性化しないのでしょうか。

 病的疲労のひとつ、慢性疲労症候群の特徴として「労作後倦怠感」という現象があります。軽い労作(仕事や運動)のあと、数時間~48時間後に、急激に強い倦怠感が出てしまう症状です。慢性疲労症候群でHHV-6の再活性化が見られないのは、労作後倦怠感が生じるために、HHV-6が再活性化するほど「生理的疲労」を蓄積できないと解釈することもできます。この労作後倦怠感は、新型コロナ後遺症でも高頻度で見られます。

 つまり、とても疲れているときに唾液を測定してみて、HHV-6がうじゃうじゃいれば生理的疲労なのでまだいいけど、HHV-6がほとんどいないときは病的疲労を疑った方がいいということです。病的疲労を抱えているということは、うつ病の予備群である可能性も高い。

 唾液中のHHV-6の検査は、まだ一部の医療機関でしか行われていません。検査料も高額です。この検査を手軽に、比較的安価で受けられるシステムを作る必要があると思います。この検査が普及すれば、疲労度を測るだけでなく、うつ病の早期診断にもつながるはずです。(つづく)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ダウンタウン浜田雅功の休養でよぎる2023年の「意識障害」報道…「前日のことを全く記憶していない」

  2. 2

    フジテレビ30代アナ永島優美、椿原慶子が辞めて佐々木恭子、西山喜久恵50代アナが居座る深刻

  3. 3

    蒔田彩珠は“この役なら変われる”と奮起して「富永蒼」役をゲット

  4. 4

    男性キャディーが人気女子プロ3人と壮絶不倫!文春砲炸裂で関係者は「さらなる写真流出」に戦々恐々

  5. 5

    コシノジュンコそっくり? NHK朝ドラ「カーネーション」で演じた川崎亜沙美は岸和田で母に

  1. 6

    40歳目前の綾瀬はるかは"長い春"か…冠番組に映画主演と「決断できない」ジェシーとの関係

  2. 7

    岡田准一が真田広之をライバル視…Netflix超大作時代劇「イクサガミ」での“無茶ぶり”には困惑の声も

  3. 8

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  4. 9

    浜田雅功の休養で暗雲漂う…大阪・関西万博とダウンタウン活動再開の行方

  5. 10

    精神科医・和田秀樹氏が語る「老害」を乗り越える方法