大人気の2型糖尿病の飲み薬が引き起こす性感染症リスク 心血管イベントや死亡率は減少するが…
なぜ、SGLT2阻害薬は性感染症のリスクをアップさせるのか?
「そもそもこの薬は腎臓に近い尿細管にあるSGLT2の働きを阻害して尿からの糖質の再吸収を邪魔することで、糖質を尿中に多く流して血糖値を下げる薬です。単に糖質を排出するだけでなく、より多くの糖質を排出しようとして尿量も増えるため、体重が減る効果もあるとされています。さらに大規模なランダム化比較試験により、心血管イベントと死亡率の減少が報告されていて、心臓に不安を抱えたり、肥満に悩む2型糖尿病の患者さんには人気の糖尿病薬です」
しかし、SGLT2阻害薬は糖を含んだ尿が膀胱や尿路を流れるため、糖を餌にする雑菌が繁殖しやすいことが指摘されている。
「膀胱や尿道は脳、脊髄、末梢神経などの神経系が正常に働くことによって膀胱に尿をためたり、尿意を感じて排出したりします。しかし、糖尿病の人は神経障害を合併することが多い。そのため、体内に尿がとどまる時間が長いとされ、雑菌が繁殖しやすくなって陰部や性器に感染症を起こす可能性があるとされています。とくに女性は尿道が短く、膀胱炎になりやすいとされてきました」