「夏の不眠」解決策の1つに薬の見直しを…5割超のエアコン節約派は考えるべき
夜間頻尿、気管支炎、高血圧、乾燥肌…
中高年が睡眠薬に頼るのは、そうせざるを得ない事情もあるという。
「特に高齢者の場合、よく気にする症状の一つが夜間頻尿です。トイレで何度も目が覚めると、眠れなくなります。それが嫌でぐっすり眠るために睡眠薬を希望することもある。そのほかにも気管支炎や喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などで寝ているときにせき込んで、睡眠が妨げられてしまいます。その呼吸器系の治療薬として使用される気管支拡張薬には、副作用として不眠を生じることもあるのです。さらに高齢者の多くが患う高血圧を改善する降圧剤の中にも、副作用で不眠になるものがあります。つまり夜間のつらい症状からやむを得ず睡眠薬に頼らざるを得ない事情を抱えている人も少なくないのです」
年を重ねると、皮膚が乾燥してかゆくなる。そのつらさで不眠を訴えるケースもある。また、糖尿病などの病気が悪化すると、脚をかきむしったり、動かずにはいられなくなる衝動に駆られるムズムズ脚症候群を発症する人は少なくない。これも安眠を妨げる大きな要因だろう。
「不眠の原因を探り、それを見つけたら一つ一つ適切な治療で症状を改善することが重要です。たとえば夜間頻尿がつらくても、単純に水分摂取を減らすと脱水して熱中症を招きやすいので、適度な水分摂取量を維持しつつ20分程度の散歩を取り入れたり、アルコールやカフェインの摂取を控えたり。気管支炎や高血圧などの薬の影響が疑われるケースでは、不眠の副作用がない薬に変更したり。さらに、かゆみについては保湿やクリームなどをうまく使用したり……。症状や持病の管理で、睡眠薬に頼らなくてもいい環境を目指すことも重要でしょう」
年をとれば若いころほど汗をかかなくなるとはいえ、発汗量がゼロになることはない。そこに室内の暑さもあれば、ダニが増えやすい。そうやって増えたダニが、かゆさの原因になっている可能性もあるだろう。布団干しを定期的に行うことも快眠には不可欠だ。
こうしてみると、中高年を取り巻く寝苦しさの背景には、いろいろなことが密接に結びついていることがわかる。その一つ一つをひもといて、薬や対策を見直すことは理にかなっている。
「中高年の方々が寝苦しさをキーワードに、エアコンや持病の薬を見直せば、熱中症のリスクを減らしながら、快適な睡眠環境を実現できます。そうすると、薬の相互作用によるふらつきや意識障害なども軽減できて一石二鳥です」
薬はかかりつけ医に相談しながら、寝室の対策についてはできることから始めよう。
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