著者のコラム一覧
新井平伊順天堂大学医学部名誉教授

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

熱中症は認知機能低下を進める恐れあり…暑すぎるときは手浴・足浴が役立つ

公開日: 更新日:

冷たい水分は深部体温が下がりやすい

 脱水対策に飲むといいのは、日常的にはまず水。水以外ではカフェインレスのものを選んでください。カフェインは利尿作用があるので、尿が増え、かえって体内の水分不足を招いてしまいます。

 散歩したり、庭仕事をしたり、暑い台所で料理をしたりと、汗をかいたときは、電解質を含んだスポーツドリンクをたくさん飲むこと。全てスポーツドリンクでなくてもいいので、水と併用するのもいいでしょう。体内に速やかに吸収できるよう作られた経口補水液を念のため常備しておき、必要に応じて活用するのもいいですね。

 わざわざ言うまでもないかもしれませんが、ビールなどアルコールは水分補給とはなりませんので、「カラカラに喉が渇いたときにビール」というのはやめてください。

 飲む量ですが、汗をかくようなことをせず屋内で過ごしている場合で、1回につきコップ1杯程度の水分を1日6~8回。感覚としては、「口の中が乾かない」「尿の色が薄い黄色になる」くらいの水の量を。脱水を早くに発見するときのポイント2つの逆になればいいです。

 高齢者では心臓や腎臓を悪くされている方もいます。水分の取りすぎは、心臓、腎臓に負担をかけるので、持病がある場合の適切な水分摂取量を担当医に聞いてください。また、膝から下、靴下をはいているあたりにむくみが見られる人も、水分の過剰摂取になっていないかを担当医に確認してください。

 最近の研究では、脱水対策として5度から15度ほどの冷たい水分を摂取する方がいいとされているそうです。冷たい水分は深部体温を低下させ、胃にとどまる時間が短いために速やかに吸収されるから。ただ、冷たいものの取りすぎは胃腸に負担をかけます。少しだけ冷たい水分を取り、あとは常温で、といったように工夫を凝らしてください。

 脱水対策というより熱中症対策ですが、最後にもうひとつ。暑いときは、手のひらを水につけると深部体温が下がりやすいそうです。手のひらには動脈と静脈を結ぶ血管の部位「動静脈吻合部」があって、暑ければ血管を開き、寒ければ血管を収縮させて深部体温をコントロールしているから。動静脈吻合部は足の裏にもあるとのこと。暑くてたまらないというときは、手浴・足浴も試みてください。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    コメンテーター「早口すぎて何を言っているのか聞き取れない」ワースト5はこの人たちだ

  2. 2

    政府また《年寄りいじめ》…高齢者医療費「窓口負担3割」適用拡大に《裏金、政策活動費を使え》批判の当然

  3. 3

    NHK紅白歌合戦にSnow Man&新旧キンプリメンバー担ぎ出す動き…昨年は過去最低視聴率

  4. 4

    高市早苗が総裁選で猛追!「選挙の神様」が陣営に加勢 都知事選で石丸伸二を2位に押し上げたプランナー

  5. 5

    悠仁さま進路先めぐる情報「根拠ない」は本当か? 秋篠宮家側近の“あやふやな説明”

  1. 6

    山口真由氏「妊娠・休養」報道で人気を証明 復帰後に約束された「最強コメンテーター」の道

  2. 7

    森保Jの爆勝スタートの裏に2人の立役者…移動、練習環境、雰囲気づくりで好アシスト

  3. 8

    長澤まさみ「Fカップ美巨乳ヌード」 衝撃情報の“真偽”

  4. 9

    W杯8強へ森保J「5人の重要人物」 頭痛の種は主将・遠藤航の後継者…所属先でベンチ外危機

  5. 10

    “多様性女王”大坂なおみの面目躍如…彼女にしかできないド派手衣装で登場、度肝を抜いた