がん最新治療 「陽子線」はピンポイントの攻撃力が強み
「かめはめ波」が、敵の前後左右の障害物にはダメージを与えず、敵のみを最大限のパワーで攻撃するイメージだ。陽子線治療は従来の放射線治療と比べて効果は高く、副作用は小さい。
陽子線治療が保険適用で受けられるがんは、今年6月から可能となった肺がんをはじめ複数あるが、「手術による根治的な治療が困難な場合」など、陽子線保険適用に条件がついているものがほとんどだ。
「陽子線を含む放射線治療は、手術や抗がん剤と並ぶがんの三大治療です。手術ができ、それが最良の手段なら手術を最初に行うべきです。しかし、がんの転移があり手術が不可能な場合、陽子線治療が役立つ。また、舌がんのように手術によって話す、食べる、味わうといった生きる上で重要な機能を失いかねないがんもある。その場合、手術が可能でも陽子線治療と動脈から抗がん剤を投与する療法との併用で切らずに治す方法は、一つの手だと思います」
また、小児がん(限局性の固形悪性腫瘍)では、抗がん剤によって終了後数カ月から数年後に合併症が生じる晩期合併症が出現しかねない。従来の放射線治療(X線)では脊椎骨の成長障害(低身長、側弯、変形など)が必発だ。それらのリスク回避においても、がんをピンポイントで治療できる陽子線治療は優れている。
来週月曜日からの集中連載(4回)で、陽子線治療をより詳しく紹介する。