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永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

日本の薬は大丈夫か?(2)漢方薬はジェネリック以上の供給不安

公開日: 更新日:

 ジェネリックだけではなく、「漢方薬」も供給不安が続いています。昨年の秋に、漢方の大手メーカーが「麦門冬湯」と「五虎湯」の出荷を停止しました。新型コロナの影響で、通常のせき止め薬が品薄になったため、代替品として漢方薬を処方する病院が急増して、そのあおりで供給を止めざるを得なかったのです。

 さらに12月には、同じ理由で「葛根湯」が品薄状態になりました。それが引き金となり、ドミノ倒し的に各社の供給が停止したり限定出荷になったりして、品薄感が一気に高まりました。

 現在は葛根湯と五虎湯は通常出荷に戻っていますが、麦門冬湯は多くの会社が限定出荷を続けています。しかしこれからインフルエンザの流行シーズンに入るため、再び供給が不足するかもしれません。

 漢方薬の原料となる「生薬(薬草)」の大半は、中国からの輸入です。日本における生薬の年間使用量は約2万8000トン(2023年)ですが、国産は約2900トンに過ぎません。

 その中国ですが、野生の薬草がかなり取りつくされ、しかも環境破壊につながることから、採集制限が強化されています。また中国国内での需要も増えているため、甘草など主要な生薬には輸出規制がかけられています。しかも中国政府が食料生産を優先しているため、生薬の栽培量が減少しているといわれています。加えて円安の影響や、欧米諸国における漢方人気もあって、輸入価格は2021年と比べて約1.6倍に高騰しています(農林水産省)。

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