重度認知症の人から話を聞くと「家族の無視がつらい」と訴えた
もちろん家族は怒っているつもりはないのだが、そんなことが続くと本人はどうしていいか分からなくなり、ここは自分の居場所ではないと思うのか、「帰ります」と家を出る人がいる。帰れなければ「徘徊」である。気の強い人は家族を攻撃することもある。
こうした行動を認知症の症状だと勘違いされる方もいるが、自分の存在を否定されたら誰だって同じではないだろうか。大切なことは、物忘れが激しくても、心の中は私たちと同じなんだということを理解することだ。
「家族関係が変われば本人も変わり、本人が変われば家族の負担は軽くなる」という。それには本人の声に耳を傾けることなのだ。
次回から具体的な例をあげて紹介したい。 (つづく)