「マイクロプラスチック」はなぜ心臓病のリスクになるのか
マイクロプラスチックとは、直径が5ミリ以下の微小なプラスチック片を指し、100ナノメートル以下のものはナノプラスチックと呼ばれます。ペットボトルや食品パッケージなどのプラスチックごみが紫外線や海洋環境などの影響で細分化されることで発生します。このマイクロプラスチックが飲食物などを介して体内に侵入すると、血流に乗って特定の臓器に入り込み悪影響を与えるリスクは以前から指摘されていましたが、その可能性が高くなったといえるでしょう。
■異物反応による炎症が動脈硬化を促進
この研究では、マイクロプラスチックを含んでいたプラーク組織では炎症が増えている兆候を示していたといいます。つまり、体内に侵入して蓄積したマイクロプラスチックは、生体から「異物」として認識されているということです。
心臓手術で人工血管や人工弁などの人工物を体内に設置した場合、いったんは受け入れられても、その後もずっとそのままの状態を維持できることはほぼありません。どこかのタイミングで生体から異物として認識して、排除しようとします。一般的には感染などがきっかけになることが多いですが、異物の周辺で免疫反応が起こり、炎症が発生するためと考えられています。最近ではある種の抗がん剤投与で生体弁の劣化が進んだという報告もあります。このような自己組織以外を排除しようとする免疫機能は異物反応と呼ばれています。