「マイクロプラスチック」はなぜ心臓病のリスクになるのか
体内に侵入したマイクロプラスチックは、カイロミクロンなど分子量の大きなコレステロール系の分子に包み込まれ、脂質や細胞の老廃物などとともにプラークとして動脈の壁に付着すると考えられます。それでも、生体からは異物と認識されて異物反応が起こり、炎症が生じて動脈硬化を促進し、心臓トラブルを招きやすくなってしまうのでしょう。
マイクロプラスチックの種類によっては、体内に一定量以上を取り込むと肺などの臓器に蓄積して遠隔期の悪性腫瘍の原因になったり、血管内に蓄積することで将来的に特殊な動脈硬化を引き起こしたり、血管の脆弱性を招いて大動脈の中に潰瘍性の病変をつくり、それが原因で解離を起こすといったリスクにつながる可能性もあります。
もちろん現段階では、マイクロプラスチックが心臓や血管にどの程度の悪影響を与え、どれくらいの危険因子といえるのかに関しては、まだはっきりわかっていませんし、今後はさらに大規模で数多くの研究や検証が必要です。ただ、そうしたリスクや問題が議論されていることをしっかり認識しておくことは大切です。
マイクロプラスチックの取り込みを減らすためには、ペットボトル飲料やプラスチック容器の食品を避けたり、ナノプラスチックを含んだシャンプーや洗顔料、歯磨き剤、化粧品などをなるべく使わないようにするといった対策が考えられます。しかし、現実的にはプラスチック製品を徹底的に排除して生活することはまず不可能でしょう。