認知症の母は、「必要」とされると暴言や暴力がなくなった
むろん母の財布には事前に1000円札を入れておいた。母が財布を開けると驚いた顔で「ちょうどあるわ」と両替してくれた。娘が相手でも、役に立って感謝されたら気分がいい。認知症の人にはそれだけで生きがいになる。生きがいが不安を抑えてくれるのだろう。それ以来、母の暴言や暴力はすっかり消えた。
認知症になって何の役にも立たないと諦めていたのに、自分の行動が役に立って喜んでもらえたことで周辺症状がなくなったのである。 (つづく)