“ポンコツ”マイナ保険証に医療側と製薬会社はひと安心?
ただし、そんなことをすれば、とある職業団体は猛反対するでしょうし、つぶれる病院や製薬会社が続出するでしょう。
でも、現行のマイナ保険証にはそんな機能は全くなく、医療側や製薬会社は安心していることでしょう。心臓手術を受ける患者さんも、このヘボな制度にひと安心です。
「前の病院で心臓手術を受けろと医者に言われたんですが、『今この病院で心臓手術はゼッタイに受けない方がいいですよ! 命が惜しければ』って担当の看護師さんに耳打ちされたんです」(看護師さんは、いつも患者さんのミカタなんですね)──という患者さんがいます。
受けた医療の情報が1カ所ですべて管理されることになれば、こうした患者さんの命がけの“脱出”も、元の病院にバレてしまうかも知れません。首都圏の患者さんはたくさん病院があるので困りませんが、病院が少ない地方の患者さんは災難です。
「よそで手術を受けるんなら、もうあんたなんか一生、この病院では診ないから」
現実にこう言われた患者さんを私はたくさん知っています。マイナ保険証が間の抜けた制度で本当に良かったです!
▽南渕明宏(なぶち・あきひろ)心臓血管外科専門医、医学博士。