「運動」が健康長寿につながるのはなぜ? テロメアを守る働きあり
運動をすると、呼吸が増えて大量の酸素が体に取り込まれる。全身の細胞内に数百から数千存在する細胞内小器官のミトコンドリアで、ATPと呼ばれるエネルギー物質を作るためだ。このとき、取り込まれた酸素の一部はフリーラジカルとなって体を錆びつかせる。運動は酸化の予防にならないのではないか?
「そうではありません。運動によって一時的にフリーラジカルが急増しますが、すぐに体は抗酸化物質を大量に生産します。結果的に抗酸化物質がフリーラジカルを上回り、酸化ストレスを低減することにつながるのです」
運動によって使われた筋肉は炎症を起こすが、やがて抗炎症物質が多く作られ炎症ストレスを低下させるのと同じだ。運動するとオートファジー(自食作用)、アポトーシス(細胞死)により不要な細胞を取り除く。これらにより運動前よりも体は元気になるというわけだ。
■世界5大長寿地域は「歩く」が日常
「健康のためには有酸素運動が良い」とされるが、なぜか?
「有酸素運動は、酸素を使ってエネルギーを作る運動で、心肺に負荷をかけすぎずに鍛えることができます。結果的に、心臓がより効率的に血液を送り出せるようになり、呼吸機能強化にもつながります。血圧や血糖値を安定させるホルモンの働きが促進され、生活習慣病の予防に効果があります」