京成電鉄(下)オリエンタルランド誕生当時は「無力だった」
三井不動産の坪井東・元社長が高橋氏のドンブリ勘定のごとく見える経営手法を嫌い、「両者は犬猿の仲となった」と関係者は証言する。
こんなエピソードが残っている。誘致計画は、三菱地所が立案した富士山麓の御殿場と、三井不動産の浦安沖が激しく競合した。下馬評では御殿場が有力視されたが、両方を視察した米ディズニー側が浦安に軍配を上げた。御殿場は東京から遠いという立地条件の差だったという。消費者が集積する東京からの距離を、本場の米ディズニーの幹部は重要視した。
埋め立ての利権を求めて“黒い経済人”やアングラ世界の住人が次々と現れた。彼らをさばいたのは高橋氏とその部下だった。
奇麗事でテーマパークが誕生したわけでは決してない。
現在のOLCの株主構成(23年9月30日現在、自己株式を控除した議決権比率)は、高橋氏が「無力」と決めつけた京成電鉄が22.15%で筆頭株主。三井不動産は6.04%で3位株主だ。創立時からのメンバーである千葉県が4.03%、浦安市が0.81%を保有している。
いずれの株主もOLCの高い株価と時価総額の大きさが、有形、無形の“財産”になっている。