甲子園62勝の小倉清一郎コーチ激白「さらば横浜高校」
神奈川県大会準決勝敗退 横浜での23年に終止符
最後の夏は甲子園で終わりたかった――。
29日の神奈川大会準決勝、横浜は同じ第1シードの東海大相模と対戦。開幕前から直球が140キロ超の好投手4枚を擁する東海大相模戦が最大のヤマだと思っていた。
3点を追う九回2死走者なしから、3連打で1点を返し、さらに2死満塁まで攻めたものの、反撃及ばず3-5。3年生には「お疲れさま」と言いたい。
敗因は中心の3選手が機能しなかったことに尽きる。エースの伊藤将司(3年)が6回5失点で降板。4回戦の湘南戦で10連続三振をマークしたが、その後、テークバックの時に左手首をコックしてしまう悪癖が再発。手元で伸びる伊藤の良さがこの日はなかった。
打線も援護できなかった。プロ志望の2人にあえて言う。4番の高浜祐仁(3年)はこの日4三振。試合前、私は「インコースを攻めてくるぞ」とアドバイスした。が、序盤に大ファウルを打った後は外一辺倒。広い外角のストライクゾーンをうまく使われているのに、高浜は配球が変わったことに最後まで気が付かなかった。
私は09年に部長を退き、ベンチを外れたが、ベンチに入らないと、かゆいところに手が届かない。最後の試合もヤキモキすることになった。
「ドラフト上位候補」と騒がれる1番の浅間大基(3年)は今大会3本塁打。が、140キロを超える球には詰まってしまう。速球に対応できなければ、プロでは通用しないと自覚して欲しい。チームとして打撃マシンで速球対策は行ったものの、全体練習後に室内で150キロのマシンを打っていた者が何人いたか。選手から昨夏の桐光学園の松井(楽天)対策ほどの執念は感じなかった。
すでに今夏限りで横浜高校を退任することが決まっている。横浜での23年間の指導はこれで幕を閉じる。
これからの神奈川は、東海大相模の時代が来るのではないか。県外出身のいい選手が多く、全国に勧誘網が整備されている。横浜は学校の方針もあって、例年県外出身者は3人前後。試合に出るのはその一部で基本的には県内中心の構成だ。例えば広島県では、県外出身のスタメンは5人までと決まっている。このようなルールを神奈川も作っていいかもしれない。