驚異の成功率 中日・小笠原「代打」で復活の理由を専門家解説
復活すると言ったのは、もちろん根拠がある。同じ「フルスイング」でも、初球ストライクかワンストライク後を狙い打つのが小笠原流。持ち味が1打席勝負の代打に向いているのだ。107打点を稼いだ09年は、初球Sと1S後の打率がそれぞれ.428、.390の猛威。ツーストライク後の打率は.206とサッパリ。打率.360で首位打者になった03年は、初球S.438、1S後.408。2S後は.290だった。
巨人最終年(13年)を見よう。得意の初球Sと1S後で積極的に打ちにいくもここでは.318。年齢からくる衰えをパワーの強化で補おうとしたことが打撃の間を狂わせた。中日に移籍後はタイミングを重視し、らしさを取り戻したとみている。
バースが残した86年の日本記録.389は小笠原型だ。初球S、1S後、2S後の打率が順に.520、.418、.278。メジャー記録となったイチローの262安打(04年)も同じで、.453、.399、.284だった。
しかし、2S後に打つあまのじゃくもいる。オリックス時代のイチローだ。94年に210安打したときは.367、.411、.379。落合博満は2度目の三冠王(85年)が.453、.324、.374だった。左の巧打者張本勲、若松勉も3割5分以上のシーズンは2S後で3割を打った。
▽小野俊哉 1961年岡山出身。スポーツ・アクセス㈲代表取締役。早大理工学部卒、味の素、住友金属工業を経て、03年同社設立。プロ野球、メジャーリーグの記録を分析、評論し各メディアやメジャー球団に情報を提供している。