扇風機大いに結構 日ハム清宮「空振り三振」に大物の片鱗
■バットが振り切れている
喫した20三振のうち、実に16個が空振りによるもの。つまり、バットを振れている。野球選手がバットを振るのは当たり前でしょ、と思うかもしれない。でも、案外、これが難しい。
高卒新人は特にそう。高校生とプロでは投手のスピード、キレ、制球力とすべてにおいてレベルが違う。打席でそれを目の当たりにすると、振ろうと思ってもなかなかバットが出てこない。振っても中途半端なスイングになりがちだ。
その点、清宮はバットが振り切れている。落ちる変化球に体勢を崩されて空を切っても、きちんとスイングはしている。清宮は今季のプロ野球の最大の注目株。大きな期待を集める中で三振の山を築けば、普通は空振りはしたくないとスイングが小さくなるもの。彼にはそれが一切ない。
「三振をしているうちは一軍で使い続けますよ」
先の私の会話は次のように続くはずだった。
「結果を求めて、当てにいくようなスイングをしないところがいい。これは、本当に大したものだよ。打率も三振数も関係ない。もし、二軍に落とすなら、バットが振れなくなった時。当てにいくような中途半端なスイングをし始めたら、『ファームに行ってバットを振れるようにしてきなさい』ということになるけど、その心配はないでしょう。今の、当たれば長打、という迫力のある空振りを続けていれば、間違いなく道は開ける。三振しようが、凡打を重ねようが、バットを振り切れる打者に投手はイヤな感じを受けるもの。投げミスは危険、と重圧を感じ、腕が縮こまって、かえって甘い球を投げてしまうものですから」