駅伝大国ニッポンを蝕む“鉄剤”依存…使用は昭和の時代から
陸上長距離界では知らぬ人がいない「クスリ」だった。
読売新聞が9日、「高校駅伝で鉄剤注射」の見出しで報じた記事が陸上界だけでなく国内のスポーツ関係者の間で注目されている。日本陸上競技連盟(以下、陸連)が2016年4月に使わないように警告していた貧血治療用の鉄剤注射を、高校駅伝の一部強豪校が警告後も使っていたという内容だ。
この記事では陸上関係者の話として、貧血になりやすい女子長距離選手を中心に00年ごろから全国に広まった、とあるが、某大学陸上部の元関係者は「昭和の時代から使われていた」とこう続ける。
「今回は読売新聞の記事でこの問題に火がついたわけですが、『鉄剤』投与については5年前にも朝日新聞が報じて警鐘を鳴らしていた。女子の駅伝が始まったのは1980年代だが、男子はその前から使っていた。当時は『造血剤』と呼ばれ、練習でヘロヘロになると『おい、造血剤を打ち込むぞ!』と言ってハッパをかける監督もいました。造血剤を打てば男子の5000メートルで20秒から30秒は違いましたね」