セパ金満球団がV逸目前でFA戦線の主役に 巨人は「打てる捕手」狙い、SBは「ハマの安打製造機」に注目
V逸目前の金持ち2球団がこのオフ、大型補強を敢行しそうだ。巨人とソフトバンクである。
巨人は、スモークら3人の新助っ人野手がシーズン途中で全員帰国。日本ハムから無償トレードで獲得した中田翔(32)もパッとせず、正捕手も固定できていない。
日本人の先発投手はエースの菅野智之(31)、2年連続で9勝をマークする3年目の戸郷翔征(21)、プロ初の2ケタをマークした3年目の高橋優貴(24)に続く投手が不在。リリーフも、日本人で勝ちパターンを担えるのは中川皓太(27)くらい。ビエイラ、デラロサの両助っ人頼みになっている。
一方のソフトバンクはチーム防御率がリーグ1位の3.24と充実しているが、打線強化が急務。不動のレギュラーといえるのは、右翼の柳田悠岐(32)、一塁兼外野の栗原陵矢(25)、正捕手の甲斐拓也(28)くらいだ。
「ベテラン三塁手の松田宣浩(38)は衰えを隠せず、一塁兼外野の中村晃(31)も近年はやや精彩を欠く。栗原に続く若手の台頭に時間がかかっており、野手の補強は不可欠です」(ソフトバンクOB)
今オフのFA市場は、投手は2018年最多勝右腕の広島・大瀬良大地(30)、今季プロ初の10勝をマークした同・九里亜蓮(30)、中日の強力ブルペンを支える又吉克樹(30)、祖父江大輔(34)のリリーフコンビが中心。又吉は年俸4200万円、祖父江は同7000万円とお手頃だ。
打者では、通算打率.302を誇る「ハマの安打製造機」、DeNA・宮崎敏郎(32)、東京五輪の日本代表に選ばれた阪神の正妻・梅野隆太郎(30)が国内FA権を取得した。
■侍捕手の意外な評価
「巨人は大量のクビ切りをした上で、ドラフト、FA、助っ人で戦力の底上げを図る。先発は大瀬良か九里、リリーフでは又吉、さらに原監督が打てる捕手を好むこともあり、梅野の動向を注視していると聞いています」と巨人OBが続ける。
「中でも梅野は、残留が基本線といわれていますが、矢野監督がリードをあまり評価していない。2番手捕手の坂本と、ファームで力をつけている栄枝を高く買っているそうです。阪神と梅野の交渉次第で、獲得のチャンスは出てくるでしょう」
レッズ秋山も注視
ソフトバンクは九州・佐賀出身の宮崎に関心を示しているという。
「松田の後継者として育成出身の4年目・リチャード(22)を育成していますが、大成するには、まだ時間がかかる。毎年コンスタントに打率3割以上が期待できる打者は、なかなかいない。DeNAも引き留める方針だが、昨オフの契約更改ではわずか1000万円増の1.7億円でサイン。9年間で4度の打率3割、16年から6年連続2ケタ本塁打をマークしている割には、年俸を低く抑えられている。これまでの球団の評価を本人がどう受け止めているか。DeNAはマネーゲームはしない球団。条件勝負ならソフトバンクが有利です」(前出のソフトバンクOB)
海外組ではレッズの秋山翔吾(33)の動向が気になるところだ。3年契約の2年目の今季は88試合で打率.204、0本塁打、12打点、2盗塁。コロナ禍での海外挑戦で難しい調整を強いられているものの、2年連続で結果を残せていない。
「もしレッズがバイアウトを決断すれば、巨人とソフトバンクはイの一番に動くでしょう。特にソフトバンクは王会長が高く評価していて、19年オフに海外FAエージェント権を行使した際は熱心に調査していました」(セ球団編成担当)
水面下ではすでに駆け引きが始まっている。シーズンは脇役に終わりそうだが、オフはセ・パの金満球団が主役に躍り出そうだ。