長生きできる食事健康本5冊
「脳が若返る40代からの食事術」熊谷頼佳著
人は誰でも平等に年を取る。しかし、食事のあり方ひとつで若々しさを保ち、加齢とともに増加する各種の疾患にあらがうことも不可能ではない。今回は、老けないための栄養素から脳を若々しく保つ食事法、そして寿命を左右する食材まで、健康長寿の実現に役立つ5冊を紹介する。
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「炭水化物が大好物」という人と、「徹底した糖質制限をしている」という人とで、脳が若々しいのはどちらか。実は、どちらの食事も脳にダメージを与えていると、脳神経外科医であり認知症治療の専門家でもある著者は警告する。
炭水化物を摂取し、血糖値が高い状態が続くと、脳に糖を取り込む調節機能が壊れ、脳内高血糖の状態になると考えられている。脳には、使いきれずに余った糖をためておく仕組みはないため、糖は脳のゴミと呼ばれアルツハイマーの原因にもなるアミロイドβに変換され蓄積されていくのではないかと著者は言う。近年、世界各国の調査でも、糖尿病の人はそうでない人に比べてアルツハイマーを発症するリスクが高くなることが確認されている。
一方、糖質制限を行えば脳に良さそうだが、糖が不足すると脳の中にあるケトン体がエネルギー源として利用されるものの、脳のケトン体は数分しか持たず、糖不足でも脳が壊れていくという。
そこで著者自身が実践する、脳に良い食材や糖質の取り方を伝授。
(ダイヤモンド社 1400円+税)
「本当に老けない食事術」寺尾啓二著
年齢を重ね、皮膚が老化したり太りやすくなるのは誰もが経験すること。しかし、ある栄養素の摂取を心がけることで老化にあらがうことができるという。その栄養素とは、R―αリポ酸、L―カルニチン、コエンザイムQ10という「3大ヒトケミカル」だと本書。
栄養学の世界では糖質、脂質、タンパク質を3大栄養素と呼び、これにビタミンとミネラルを加えた5大栄養素が大切という時代が長く続いた。
そして、3大ヒトケミカルは、体内でも作られるため摂取する必要はないと考えられてきたのだ。しかし、20歳をピークに生産量が減少することが明らかとなり、年齢を重ねるほど外部から補う必要がある成分だといわれ注目されている。
R―αリポ酸はレバー、L―カルニチンは肉類、コエンザイムQ10はイワシなどに多く含まれる。老けたくないなら3大ヒトケミカルを取ろう。
(宝島社 1200円+税)
「体がよみがえる『長寿食』」藤田紘一郎著
老化を防いで健康長寿を手に入れるために食べるべきものとして、東京医科歯科大学名誉教授である著者は、第一に納豆を挙げている。
納豆の栄養素といえば大豆イソフラボンばかりがクローズアップされるが、他にも中性脂肪を減らすレシチンや強力な抗酸化作用を持つビタミンKなども含まれている。また、納豆のネバネバには腸を若返らせる水溶性食物繊維も豊富だ。この納豆に、同じネバネバ食材である山芋やモロヘイヤ、メカブなどを混ぜて食べることで、免疫力や代謝がアップし老化予防にもつながる。
最近では糖質の高い果物を敬遠する人もいるが、活性酸素を除去する抗酸化物質の豊富なリンゴやブドウは積極的に取るべきだという。人間の寿命はテロメアと呼ばれる染色体の一部に左右されており、テロメアの短縮を急がせるのが活性酸素だ。
長寿とは毎日の食事の積み重ねで実現することを肝に銘じたい。
(三笠書房 630円+税)
「がんで余命ゼロと言われた夫の命を延ばす台所」神尾真木子著
51歳で末期の前立腺がんが発見され、余命ゼロという診断を受けたフランス料理シェフの神尾哲男氏。しかし、食生活の徹底的な改善を行ったことで、その後14年間も精力的な活動を続けた。
食事の中で積極的に取っていたのが、発酵食品だという。乳酸菌や酵母菌、ビタミン・ミネラルの他、代謝を助けて有害物質の解毒や免疫力強化も期待できる。中でも、添加物を混ぜた味噌ではなく、1~3年以上熟成させた天然醸造の味噌を好んでいたという。
ただし、味噌が持つ生命力を余すところなく取り込むには、味噌汁の作り方ひとつにも注意が必要だ。
60度以上で酵母菌の酵素は死んでしまうため、最初に具だけ煮たら火からおろして10分ほど冷まし、その後に味噌を溶き入れるのがポイント。
シェフならではの健康的かつおいしそうなレシピも満載。食の大切さを改めて教えられる。
(幻冬舎 1100円+税)
「長生きする食事」満尾正著
日本で初めてアンチエイジング専門病院を開設した著者は、まずは古い健康常識を最新版にアップデートすることが大切だという。
例えば血圧。血圧は上が“年齢+90”ぐらいで問題ないと本書。とくに高齢になればある程度の動脈硬化は進むため、脳の血流を維持するには高めの血圧が必要となる。むしろ血圧の下げ過ぎは禁物であり、塩分の摂取制限のし過ぎはかえって老化を促進するという。
具体的な食習慣としては、“お腹が減ったら食べる”を心がけること。健康には3食規則正しくが一番と思っている人も多いが、空腹でもないのに食事の時間だからといって食べ物を入れてしまうと、内臓に負担がかかり代謝も悪くなる。
また、腹ペコで食事をしても“腹八分目”でやめること。この2つを守ればサーチュインという長寿遺伝子が活性化し、満腹時に分泌され老化も促進するインスリンを抑えることにつながるそうだ。
(アチーブメント出版 1300円+税)