「戦後ゼロ年東京ブラックホール」貴志謙介著
1946年、占領当局は「望ましからぬ人物」の公職追放を始めた。戦犯、職業軍人、極端な国家主義団体や国会議員など20万人が追放された。だが、日本を統治できるスキルのあるアメリカ人はあまりいなかったため、キャリア官僚には手をつけられなかった。
アメリカ人は占領後、官僚と親しくなり、誰を追放するかは彼ら自身に決定させた。また、諜報機関G2のウィロビー准将は筋金入りの反共主義者で、大本営参謀や情報将校をソ連とのスパイ戦に利用しようとした。日本軍の参謀だった河辺虎四郎、有末精三、服部卓四郎、辻政信らはアメリカに機密情報を売って訴追を免れたのだ。
敗戦後の日本の闇をえぐるNHKスペシャルの出版化。
(NHK出版 1700円+税)