「道ならぬ恋の系譜学」ヨコタ村上孝之著
「道ならぬ恋の系譜学」ヨコタ村上孝之著
近親相姦は絶対的なタブーではあるが、隣接するグレーゾーン的な恋愛は古今、幾多も伝わる。
「やってしまうと後ろ指をさされるが、身の破滅というわけではない、居直ってしまう人もいる」
そんな境界線上の恋愛事例を文学作品や作家の行動から取り上げ分析。それがどのような結末に及び、なぜその関係は部分的に禁じられ、または部分的に許されたのか。その社会的・文化的意味を考察したテキスト。
法律的に婚姻は許されないが、セックスは禁じられているわけではない姪を妊娠させた島崎藤村の苦悩をはじめ、最初の妻・千代を友人の佐藤春夫に関係者合意のもと譲り渡して世間から糾弾された文豪・谷崎潤一郎など。7つの道ならぬ恋の様相をたどる。
(平凡社 1210円)