「私の盲端」朝比奈秋著
「私の盲端」朝比奈秋著
大学生の涼子は、大学に向かう途中、便意を催し、いつも利用する科学館のトイレに向かうが、到着寸前で漏らしてしまう。気を取り直し、バリアフリートイレに入り、折り畳まれたお腹の人工肛門から、ストーマパウチに排出された大便の処理に取り掛かる。
3カ月前、バイト先で下血して倒れた涼子は、直腸に腫瘍が見つかり、人工肛門を使用するオストメイトになった。誰にも打ち明けられず、半年後の再手術で元の体に戻る日を心待ちにしている。
処理を終えトイレを出ると、男性が待っていた。彼は涼子がオストメイトであることを見抜き話しかけてきた。涼子は無視をするが、彼もオストメイトだがパウチを使っていないと聞き、思わず足を止める。
芥川賞を受賞した現役医師作家のデビュー作。 (朝日新聞出版 836円)