胸焼けがサイン 増える「食道・胃接合部がん」に要注意
逆流性食道炎(胃食道逆流症)の患者数が増え続けているが、もしこの病気があるなら、食道と胃の境目にある「食道・胃接合部がん」についても知っていた方がいい。逆流性食道炎がリスク要因になるからだ。東京大学医学部付属病院胃食道外科の瀬戸泰之教授に聞いた。
解剖学的には、喉と胃袋をつなぐ食道は胸の中にあり、胃はお腹の中にある。
食道がある胸の中は陰圧で、胃があるお腹の中は圧が高め。食道の粘膜は扁平上皮と呼ばれ、胃は円柱上皮。食道は筒状だが、胃は袋状になっている。
「つまり、食道と胃は環境や組織の構造が全く違います。2つの臓器の境界線には、胃の内容物が逆流しないための“関所”の噴門があります。噴門の辺りの組織は、食道でも胃でもなく、ここにできるがんは通常の食道がんや胃がんとは違うのではないかという議論が昔からありました。最近、境界領域のがんが増えてきて、あらためて脚光を浴びるようになったのです」
これまでは、名称や治療法がバラバラだった。食道を専門に診ている医師は、食道がんの一種とみなし、食道と胸部のリンパ節を切除する。一方、胃を専門に診ている医師は、胃がんの一種とみなし、胃を全摘する。近年、それらの統一化を目的とした動きが出てきている。