専門家が推奨 認知症は1日10分の「昭和歌謡」で予防する
科学的根拠も出ている。古くは50年代、フランスの耳鼻咽喉科医のアルフレッド・A・トマティス博士の研究だ。
「最も効果的なのは、モーツァルトの曲。彼の曲の周波数は、脳の働きを活性化し、ストレスを軽減、感受性を豊かにすると解明しています。例えば、『バイオリン協奏曲K207第1楽章』『ディヴェルティメント ニ長調K136 第2楽章』などはいいですね。4000ヘルツ前後の高周波音が、脳に強い刺激を与え、免疫系、脳神経系などの生体機能に良い影響を与えています。高周波数とはいえ、ピアノや弦楽器のゆらぎの音楽はいいのですが、ダンスミュージックなどの激しい音楽は筋肉活動を活発化し、交感神経を優位にするからダメ。クラシックや自然の音が好ましい。寝ているときに流すだけでも効果はあります。人間は聴覚が優れていますから、体は寝ていても脳には効果をもたらしています」
物忘れが多くなった老親には、口ずさめる曲を薦めたい。
「文部省唱歌や昭和の歌謡曲、叙情歌は高周波数の曲もあり優れています。また、歌を口ずさむことで、その当時の記憶が蘇る。これが認知症の改善、予防につながります。声を出すことで、年老いると出にくくなる唾液の分泌も促すため、誤嚥性肺炎のリスクも減らせます」
和合教授はあらゆる音楽を分析している。その結果、例えば、「夏は来ぬ」「茶摘み」「浜辺の歌」「故郷(ふるさと)」などは高周波音を出し、効果が期待できる。
今月は父の日もある。親にはCDを贈ってみるか。